武蔵野まりん動物病院ブログ blog

【獣医師が解説】犬の中毒物質一覧【食べ物編】

【獣医師が解説】犬の中毒物質一覧【食べ物編】

1.はじめに

武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の皆様、こんにちは。
犬・猫をはじめ、ウサギ・デグー・インコなどの様々なエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。

犬は好奇心が強く、落ちているものや見慣れないものを口に入れてしまうことがあり、「愛犬の誤食」に頭を悩ませる飼い主さんは多いと思います。

人の食べ物の中には犬にとっては中毒となる食べ物がいくつか存在しますが原因となる物質は、特別な薬品だけでなく、食べ物や生活用品など日常の中に隠れているものも存在します。

人では問題にならない成分でも、犬では

・分解・排泄できない

・解毒に時間がかかる

・少量でも過剰になる

といった理由で中毒を起こします。人と比べて体が小さいため、少量でも中毒量に達しやすいという特徴もあります。

中毒を起こした際、幸いすぐに治ることもあれば少量でも命に関わる場合もあります。

この記事では、犬の中毒物質や症状について獣医師の視点から分かりやすく解説します。

2.犬に多い中毒物質【食べ物編】

◯チョコレート・カカオ製品

チョコレート中毒を起こす成分はカカオに含まれるカフェインやテオブロミンと呼ばれる成分です。犬では特にテオブロミンが分解されにくい成分で少量でも臨床症状を示す可能性があります。
初期の症状としては水をたくさん飲む、嘔吐、下痢、尿失禁、お腹が張るなどです。過剰な興奮、高血圧、呼吸回数の増加、不整脈などの症状が起こることもあります。

◯キシリトール中毒

ガムやキャンディー、デンタル製品などに含まれる人工甘味料の一種です。摂取されたキシリトールは消化管から30分程度で血中濃度が最高値までに達します。インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌を刺激することから低血糖症を引き起こします。肝毒性に関する報告もあり肝障害が起こることもあります。

初期の症状として嘔吐、下痢などの症状を生じることもあります。キシリトール摂取による低血糖は摂取してから1時間以内に発症し傾眠、運動失調、痙攣発作などの低血糖による症状が引き起こされます。

◯ネギ類(玉ねぎ・長ねぎ・にんにく)

ネギ類は、犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。特にタマネギやニンニクなどの毒性が問題とされ加熱しても毒性はなくならず、料理に混ざった状態でも危険です。

ネギの中毒症状は原因食品を摂取してから1日から数日で現れ、嘔吐、下痢、元気食欲の低下、脱水などが見られます。貧血が進むにつれ、粘膜が白くなり、呼吸数や心拍数の増加、黄疸などがみられるようになります。

◯ぶどう・レーズン

犬では、ぶどうやレーズンを摂取することで急性腎障害を引き起こすことがあります。
個体差が大きく、少量で重症化する場合もあるため、安全な量は存在しないと考えられています。生でも乾燥させたものでも、調理されたものでも発生することがわかっています。

摂取から24時間以内の嘔吐が特徴的な症状で次いで下痢、元気食欲の低下などがみられることがあります。

◯アボカド

アボカドに含まれるペルシンという物質が犬にとっては毒性が強く摂取してから1-3日で消化器症状や呼吸器症状がみられることがあります。中毒量は不明ですが脂肪分が高いため膵炎なども引き起こされることが知られています。

3.中毒が疑われるときの対応

摂取した食品の成状にもよりますが摂取から1時間以内、もしくは2-3時間以内であれば催吐処置が有効な場合があります。

原因物質に対する拮抗薬があることは少なく、中毒症状が出た場合には症状に対する対症療法が主体となります。症状によっては数日間の通院や入院下での管理が必要になります。

中毒症状が出ていない場合でも摂取した量によっては血液検査を行い体に影響が出ていないかをモニタリングします。

また、生体から有害物質を取り除く作用のある活性炭などの吸着剤を投与することもあります。

4.まとめ

犬は好奇心が強く身の回りの食べ物やおもちゃに興味を示し、食べてしまうことがあります。中毒物質に対しては早期対応が何より重要です。上記以外の食べ物でも大量に摂取すると体に悪影響となる場合もあります。何か食べてしまったかも、と思った時はできるだけ早く動物病院に連絡、受診をしてください。当院でも対応可能です。カルテがある子に限り夜10時までの対応も行っているので緊急の際は一度ご連絡ください。

また日頃から人の食べ物は犬の手に届かない場所に置く、キッチンには入れないようにするなどの工夫も予防の一環となります。

誤食に関するブログはこちらにも載せています。ご参考になれば幸いです。

【異物】犬や猫の誤食にご注意を!身近な危険と対策まとめ


【内視鏡】動物病院での内視鏡検査ってなに? 〜誤食・嘔吐・慢性下痢の原因を探る検査〜


<症例紹介>胃内異物を胃切開で摘出した一例【猫】

武蔵野まりん動物病院 動物たちと飼い主様が気軽に立ち寄れる、あたたかく居心地のよい地域のかかりつけ動物病院”を目指しています。犬や猫はもちろん、ウサギ・フェレット・ハムスターなどのエキゾチックアニマルにも対応し、一頭一頭のペットに寄り添いながら、飼い主様とご相談のうえ、適した治療とケアをご提案いたします。
24時間web予約 動物病院ブログ タップで電話する