犬の免疫介在性眼瞼炎とは〜まぶたの腫れ・ただれが続くときに考えたい病気〜
〜まぶたの腫れ・ただれが続くときに考えたい病気〜
1.はじめに
武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の皆様、こんにちは。犬・猫をはじめ、ウサギ・デグー・インコなどの様々なエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。
犬のまぶたが腫れている、赤くなっている、かさぶたができているような状態のことを眼瞼炎と呼びます。
眼瞼炎の原因は様々ですが考えられる疾患のひとつが免疫介在性眼瞼炎です。
通常の眼瞼炎に対する治療でなかなか良くならない場合や再発を繰り返す場合、この疾患の可能性があり長期的な治療が必要な場合があります。
この記事では、犬の免疫介在性眼瞼炎について、原因・症状・治療の考え方を、獣医師の立場から分かりやすく解説します。
2.免疫介在性眼瞼炎とは
まず、まぶたに炎症が起きている状態を眼瞼炎と呼びます。
眼瞼炎の原因は外傷などの何らかのきっかけによる細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、アレルギー、免疫異常によるものなど様々です。
中でも免疫介在性眼瞼炎とは、本来体を守るはずの免疫が、誤って自分のまぶたの組織を攻撃してしまうことで起こる炎症です。
感染症が直接の原因ではないため、通常の抗生物質だけでは改善しにくいという特徴があります。まぶたが炎症を起こすと角膜炎や角膜潰瘍など二次的に目のトラブルが発生する可能性があるので注意が必要です。
ジャーマンシェパードやダックスフンドなど発症しやすい犬種は挙げられますがどの犬種でも発症する可能性はあります。
また、はっきりとしたきっかけが分からないことも少なくありません。
3.症状
免疫介在性眼瞼炎では
・まぶたの腫れ、赤み
・ただれや潰瘍
・かさぶた、脱毛
・痛みや違和感による目をしょぼしょぼさせる様子
・目やにの増加
などが見られます。
最初は片目だけの場合でも次第に両目に出るようになるケースが多く見られます。
4.診断と治療
<診断>
診断は、視診や他の疾患を除外する検査、治療などを組み合わせて行います。
すぐに診断がつく病気ではなく、他の原因を一つずつ除外していく過程が重要になります。
一般的な眼瞼炎に対する治療反応が乏しい、再発を繰り返すといった点が、診断の手がかりになることがあります。
<治療>
免疫介在性眼瞼炎の治療では、過剰な免疫反応を抑えることが中心になります。
・免疫抑制作用のある内服薬(ステロイド)や点眼薬
・二次的な感染を予防、治療するための抗生物質の内服薬や点眼薬
などを症状に合わせて使用します。
治療により症状が落ち着いた後も急に内服を中止せず、徐々に減らし再発しないかを観察していきます。
治療は数ヶ月単位の長期に渡る場合が多く、ステロイドの副作用が強く出てないかを確認するために定期的に血液検査等で確認することも大切です。
適切な治療により、症状がコントロールできるケースは多くあります。ただし、再発しやすく長期管理が必要になることもあるため、定期的な診察が重要です。
5.症例紹介
最初は片目のニキビのような症状から始まり、まぶたの皮膚が赤くなり脱毛するなどの症状が両目に見られたとのことでした。
お家では床に顔をこすりつけるなどの行動が見られ、一時はエリザベスカラーをつけながら生活をしていました。

抗生物質やステロイドの内服薬や点眼をお家で継続してもらい、以下の写真のように症状が落ち着き床に顔をこすりつける行動も減りました。
症状が再発しないようにステロイドの容量を調節しながら継続しつつ定期的な診察や血液検査などで副作用が強く表れていないかをチェックしています。
6.まとめ
免疫介在性眼瞼炎は見た目の症状や痒みが強く、一緒に生活している飼い主様も心配になってしまう疾患です。お薬でコントロールし眼瞼炎自体の症状や二次的な疾患の発症を抑えることを目標に治療を行っていきます。
長期的な投薬が必要な場合はお薬の種類を変更したり症状が抑えられる最低の用量を探っていく必要があります。
早期に適切な診断と治療を行えば、生活の質を保ちながら付き合っていくことが可能です。
まぶたの異常が長引く場合や、治療しても改善が乏しい場合は、一度動物病院にご相談ください。
当院でも眼瞼炎の検査や治療は可能です。気になることがあれば、いつでもご相談ください。