【皮膚】犬の疥癬症について
1.はじめに
武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の皆様、こんにちは。
犬・猫をはじめ、ウサギ・デグー・インコなどの様々なエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。
犬が体を掻く仕草は正常でもみられます。
しかし、中には皮膚疾患が隠れている場合がありその一つに疥癬症が挙げられます。
疥癬症は小さなダニが皮膚に寄生することによって引き起こされる感染症でとても強い痒みの症状を示しますが正しい治療を行うことで完治を目指すことができる疾患です。
今回は犬の疥癬症に関する症状や診断、治療法に関してを獣医師の視点からわかりやすく解説します。
2.疥癬症とは
犬の疥癬症はイヌセンコウヒゼンダニ(犬疥癬)と呼ばれる虫が寄生する皮膚疾患です。
イヌセンコウヒゼンダニは肉眼では見えないほど小さな大きさ(0.2-0.4mm)で、表皮の角質層に寄生します。皮膚に疥癬トンネルと呼ばれるトンネルを作りその中で生活をして排泄や産卵を行うという特徴をもちます。
幼虫、若虫、成虫のどれもが犬に寄生し、感染します。
ヒゼンダニは寄生する動物が決まっていてイヌセンコウヒゼンダニは犬科動物でのみ繁殖します。そのため犬同士が接触する機会の多い公園やドッグラン、ペットショップやトリミングサロンなどが感染する可能性のある場所となります。自然が多い場所ではタヌキやキツネなどの野生動物の死体や巣への接触なども感染機会となります。ただし、犬疥癬に感染した犬と同居している人間が一過性に痒みの症状を発症することもあるので注意が必要です。
3.症状
極めて強い痒みの症状が特徴的です。ヒゼンダニの糞便などの代謝物に対するアレルギー反応として痒みが現れます。
皮膚の症状には2種類あり、皮膚が分厚く、固くなるようなタイプと皮膚の赤みやポツポツなど様々な症状がみられるタイプがあります。
一般的に、前者は多数のヒゼンダニが寄生しており免疫状態が低下しやすい子犬や高齢犬にみられることが多い症状です。耳や肘、かかとなどに発症しやすく全身に拡大することもあります。
後者は寄生数は少ないもののヒゼンダニに対する強いアレルギー反応が原因となるものです。様々な症状を示すので見た目だけでは他のアレルギー性疾患との見分けがつきにくい場合があります。
4.診断と治療
<診断>
皮膚掻爬試験:虫体または虫卵の検出により確定診断となります。ヒゼンダニは疥癬トンネルの中にいるため表面だけでなく病変部分の角質層まで届くようにわざと皮膚を引っ掻いてサンプルを採取します。
寄生数が多い場合は顕微鏡で容易に確認ができますが寄生数が少ない場合は検出率が低くなります。
<治療>
犬疥癬の治療にはアフォキソラネル、サロラネル、フルララネルなどと呼ばれる駆虫薬が有効でノミ・マダニの予防薬として使われているネクスガード、シンパリカ、ブラベクト等に含まれている成分です。
一回の投与で4週間後に症状が消失する場合が多いですがまだ痒みが残る場合には状態に合わせて数回投与したり痒み止めを併用することもあり、皮膚症状が重度な場合は皮膚が回復するまでに数ヶ月かかる場合もあります。
皮膚の検査でヒゼンダニが検出されなかった場合も完全に否定することは出来ないので試験的に駆虫薬を使用する場合もあります。
5.まとめ
「痒み止めを使っても良くならない」
「夜も眠れないほど痒みが強い」
こんな症状がある時は疥癬症の可能性も考えられます。
動物病院を受診した際に自然の多いところに行った、他の犬との触れ合いが多いところに行ったなどがあればお伝えいただくと診断の一助となります。
また、上述のノミ、マダニの予防薬はヒゼンダニにも効果があるので毎月の服用も予防として有効です。
当院でも疥癬の診断や治療を行うことは可能です。また、皮膚科専門医による診察も行っておりますので皮膚に関して気になることがある方はお気軽にご相談ください。
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