犬のてんかん発作について
~原因・検査・治療について~
1.はじめに
てんかんは犬でも見られる神経症状の一つです。
突然、体を硬直させ、泡を吹いたり、足をばたつかせたりする姿を見ると、多くの飼い主さんはどうしたらいいのか分からないと強い不安に襲われます。
てんかんの原因は遺伝的なもの、脳の構造的問題によるもの、原因不明のものなどがあります。
わんちゃんのてんかんの中には原因不明のものも多くありますが適切な診断と治療でコントロールできる可能性があります。この記事では、わんちゃんのてんかん発作について、原因・診断・治療などを獣医師の視点からわかりやすくお伝えします。
2.てんかんとは
てんかんとは、脳の神経細胞が一時的に異常な電気的興奮を起こすことで発作が起こる病気でこの発作は一瞬の筋肉のピクつきから、数分間にわたる全身のけいれんまでさまざまです。獣医学では24時間以上空けて少なくとも2回の発作を認めた場合をてんかんと定義しています。
全般性発作:全身が硬直したりけいれんが起こります。泡を吹いたり、意識を失うこともあります。
焦点性発作:大脳の局所的な発作で顔の一部のピクつきや一点を見つめるなどの軽い症状で終わることもあります。
部分的な発作から始まり全般発作に移行するパターンもあります。
多くは休息時や睡眠時に発生しますが発作が起きる少し前には不安な表情や何かに怖がるような行動を示すこともあります。
長く続く場合は命に関わることもあるため一度発作を起こした場合は病院を受診することをお勧めします。
3.てんかんの主な原因
発作を引き起こす原因は完全には解明されていませんが脳の機能不全に起因することが知られており何らかの原因により脳の興奮と抑制の活動のバランスが崩れ脳が過剰に興奮することにより起こるものと考えられています。
てんかんの原因は大きく3つに分けられます。
︎〇特発性てんかん
特発性とは原因不明のことを指します。多くは6歳までに初めててんかん発作を起こし繰り返します。身体検査や血液検査などで異常がなく、MRIでも構造的な異常が認められないにも関わらず発作が起きる状態です。他にも神経に関する疾患など考えられる疾患を除外した場合こちらに分類され、遺伝や体質的な問題が考えられます。
︎〇構造的てんかん
脳炎や脳腫瘍、脳梗塞など脳の構造的な疾患により発作が起こります。脳の炎症や脳の腫瘍などが原因の場合は遺伝と関係なく後天的に発生することもあり発作以外にも神経の異常が見られることが多いです。生まれつき脳に奇形がある場合もてんかん発作の原因となる可能性があり構造的てんかんに分類されます。
︎〇反応性てんかん
低血糖、腎不全、肝不全、中毒など脳以外の病気が原因でてんかん発作が引き起こされる状態です。内臓の疾患が原因となっている場合には元気食欲の低下など一般状態にも異常をきたしていることが多いです。
(反応性てんかんをてんかんに分類せず非てんかんとする考え方もあります。)
4.診断と治療
<診断>
てんかんは上記のような発作を起こしうる病気の可能性を考え必要な検査を組み合わせて診断します。
動物病院では、まず発作の様子、発生頻度、持続時間など詳しい問診を行います。もし発作が起きた際の動画があれば一緒に確認します。
身体検査や血液検査、レントゲン検査、エコー検査を行い考えられる疾患の可能性を探ります。
脳の状態を確認するために必要に応じてMRIやCT検査を検討する場合もあります。
<治療>
てんかん発作が半年に2回以上続く場合、または、1回5分以上の発作が起きる場合は抗てんかん薬を使用します。一般的に抗てんかん薬は生涯に渡って投与が必要になることが多いです。定期的に血液検査で薬の濃度を確認したり副作用が出ないか、発作の発生が抑えられているかを確認しつつ投薬量や頻度を調節します。
発作を起こす原因となる疾患がある場合はそちらの疾患も同時に治療します。
お家では万が一てんかん発作が起きた時に怪我をしないように生活環境を整えることも必要です。
5.まとめ
てんかん発作は、いざ目の前にすると驚きや焦りの気持ちでいっぱいになってしまうと思います。発作が起きてしまった時はあまり刺激しないように見守り発作が収まるのを待ちましょう。動画で記録しておくと診察時にとても参考になり診断の一助となります。
てんかん発作が起きた後はなるべく早めに動物病院に相談してください。
当院でも検査や治療を行っています。
まずは相談からでも構いません。お気軽にいらっしゃってください。
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