武蔵野まりん動物病院ブログ blog

犬の白内障について 〜原因・症状・治療法〜

犬の白内障について
〜原因・症状・治療法〜

1.はじめに

うちの子が物にぶつかるようになった、目が白っぽく濁ってきた気がする
そんな変化に気づいたことはありませんか?

白内障は特に中高齢のわんちゃんでよくみられる目の病気です。
一見すると加齢による変化のように思われがちですが、実は白内障には進行を遅らせる治療や手術で視力の改善を目指す方法もあります。

今回は、獣医師の立場から白内障の原因や治療法についてわかりやすく解説します。

2.白内障とは?

水晶体はカメラでいう透明なレンズのような役割を持ち、光を網膜まで届けることで物が見える仕組みになっています。

白内障になると、このレンズが白く濁り光が通りにくくなるため、視力が低下し、進行すると失明に至ることもあります。

 

白内障と区別される核硬化症という加齢性の変化もありますが、核硬化症では視力の低下はほとんど起こりません。
目が白くなってきた子は眼科検査による判断が必要であり核硬化症の場合は治療は必要ありません。

3.白内障の原因と症状

犬の白内障は、発症の原因によっていくつかのタイプに分けられます。

◯加齢性白内障

最も一般的なタイプで、遺伝的な要因と加齢による影響と言われていますが原因は不明です。
大型犬では6歳以降、小型犬では10歳以降にみられることが多く、緩やかに進行します。

◯遺伝性白内障

特定の犬種では、遺伝的に白内障を発症しやすいことが知られています。
特にプードル、柴犬、ヨークシャテリア、ミニチュア・ダックスフンドなどが代表的です。
若年性白内障と呼ばれ、若い年齢で発症するケースも少なくありません。わずか1週間で一気に重症化してしまうこともあります。

◯糖尿病性白内障

糖尿病の犬では、高血糖の影響で水晶体内の代謝が変化し、急速に白濁が進行することがあります。
数日〜数週間で一気に見えなくなることもあり、血糖値をコントロールしても白濁が改善することはありません。

他にも先天性白内障や炎症、薬剤誘発性など様々な原因が挙げられます。

<症状>

白内障は進行性の病気です。初期には水晶体がやや濁る程度で外見ではほとんど分からないほどの変化です。視覚にも影響がないことが多いです。
中期になると白い濁りが目立つようになり段差で躓いたり物にぶつかるなどの症状が見られるようになります。
末期の段階になると水晶体全体が白濁し視力がほとんど無くなるような状態になります。
白内障自体は痛みを伴わないことが多いですが、進行により目の炎症(ぶどう膜炎)や緑内障を併発すると痛みや失明につながることもあります。

4.診断と治療

<診断>

動物病院ではスリットランプを用いて白濁の有無や程度を確認します。目の状態に応じて涙量の測定や眼圧測定など他の検査を併用することもあります。

糖尿病など他の疾患が考えられる場合には血液検査なども行い総合的に診断します。

<治療>

白内障の治療は点眼による内科的治療と外科的治療に分けられます。

〇︎内科的治療
白内障の初期段階から点眼薬を使用し、水晶体の白濁の進行を遅らせる治療です。完治はできませんが、早期発見・早期治療で進行を緩やかにできる可能性があります。

〇︎外科的治療
視力の回復が見込める症例に関しては専門施設での手術が適応になります。超音波水晶体乳化吸引術で濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入します。

5.まとめ

犬の白内障は、年齢や体質、病気などさまざまな要因で起こります。
一度濁った水晶体は自然には戻りませんが、早期発見や適切なケアで進行を抑えることが可能な場合があります。

目が白く見える、物にぶつかるなどの様子があれば、早めに動物病院での診察をおすすめします。

当院でも白内障の診断や治療の相談を受け付けています。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。


武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の 犬・猫やウサギ・ハムスター・フェレット・モルモット・デグー・フクロモモンガ・インコ・トカゲ・カメ・カエルなどのエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。 セカンドオピニオンとしても気軽にお頼りください!

武蔵野まりん動物病院 動物たちと飼い主様が気軽に立ち寄れる、あたたかく居心地のよい地域のかかりつけ動物病院”を目指しています。犬や猫はもちろん、ウサギ・フェレット・ハムスターなどのエキゾチックアニマルにも対応し、一頭一頭のペットに寄り添いながら、飼い主様とご相談のうえ、適した治療とケアをご提案いたします。
24時間web予約 動物病院ブログ タップで電話する