モルモットの尿路結石症について
1.はじめに
モルモットは「尿路結石症」という病気を発症しやすい動物です。尿路結石症とは、腎臓から膀胱、尿道にかけての尿の通り道に結石(石のような塊)ができる病気のことです。痛みや血尿、排尿困難などを引き起こし、重症化すると命に関わることもあります。
今回は、モルモットの尿路結石症の原因・症状・診断・治療について獣医師がわかりやすく解説します。
2.尿路結石症とは?
尿に含まれるミネラル成分(カルシウムやリンなど)が過剰になると結晶(砂のようなもの)ができます。その結晶が石のような塊になると腎臓から膀胱、尿道にかけての尿の通り道に結石が発生します。モルモットは特にカルシウム代謝の特徴から、尿にカルシウムを多く排泄しやすいため結石ができやすい体質を持っています。
モルモットの結石は腎臓・尿管・膀胱・尿道のどこにでも生じることが特徴として挙げられます。
3.主な原因
モルモットの尿路結石は、いくつかの要因が考えられますが明確なことはわかっていません。原因としては以下のようなものが考えられています。
アルファルファ主体のペレットを与えたりチモシー以外の牧草を多く与えると、カルシウム摂取量が過剰になり、結石ができやすくなります。
高齢の子や慢性的に他の疾患を抱えている場合などで食餌量が低下すると飲水量も低下し脱水になりやすくなります。水を十分に飲めない環境では尿が濃くなり、結晶や結石ができやすくなります。
メスのモルモットは肛門と尿道の入り口が近く、腸内細菌による感染が起きやすい傾向にあります。オスでも便秘気味の子は細菌感染のリスクが高まり細菌性の結石症を起こす可能性があります。
一部のモルモットでは、体質や遺伝的素因により結石ができやすい傾向があるといわれています。
4.症状
尿路結石ができると、以下のような症状が見られます。
頻尿
血尿(赤色やピンク色の尿)
排尿時に鳴く、痛そうにする
頻繁に排尿の体勢をするが尿が少ししか出ない、もしくは出ない
排尿痛のストレスから元気や食欲の低下、体重減少が見られる場合もあります。
特に尿が完全に出なくなった場合は「尿路閉塞」と呼ばれる緊急事態で、早急に対応が必要です。
5.診断と治療
<診断>
動物病院では、身体検査に加え以下のような方法で診断を行います。
尿検査:尿の色を確認し、赤血球や結晶の有無を調べます。
レントゲン検査:カルシウムを含む結石はレントゲンに写るため、結石の大きさや位置を確認できます。
超音波検査:小さな結石や膀胱の粘膜が肥厚しているかなどを確認します。
他の疾患とも区別するために必要な検査を組み合わせ診断を行います。
<治療>
結石の大きさや位置によって治療法は異なります。
小さい結石であれば自然に排出されることもあるため無症状であった場合無理に治療せず経過観察をするという選択肢もあります。特にメスは比較的大きな結石であっても排泄されることがあります。
お水を飲む量が少ないと結石が大きくなりやすいためお家で飲水量を確保してもらいつつ定期的に経過観察をします。
経過観察中であっても排尿痛や食欲の低下が見られた場合、現時点で症状がある場合は外科手術を行い結石を摘出することが必要です。結石が大きく自然排出が期待できない場合や尿の通り道に詰まり閉塞を起こしている場合にも積極的な外科的治療が必要になります。全身麻酔下で行うため血液検査を含め術前検査を行った上で手術実施の判断をします。
内科治療の場合は対症療法、支持療法が中心となります。
注射・飲み薬:痛み止め、抗生物質、止血剤など症状によって必要な薬を使用します。
点滴:脱水が見られる場合は点滴を行います。
6.まとめ
モルモットの尿路結石症は、よく見られる病気でありながら重症化することもあり場合によっては命に関わります。カルシウムが結石の主成分であることが多いため食事はチモシーをメインとし、アルファルファなどは控えましょう。血尿や排尿困難、元気や食欲の低下といった症状が見られたら、早めに動物病院を受診することが大切です。また、健康診断で偶然発見されることもあります。定期的な健診で早期発見を目指しましょう。
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