武蔵野まりん動物病院ブログ blog

【実は多い】うさぎの子宮疾患について

【実は多い】うさぎの子宮疾患について

1.はじめに

うさぎと暮らす飼い主さんにとって、元気がない、いつもと様子が違うといった体調の変化はとても心配ですよね。実は、女の子のうさぎに特に多い病気のひとつに子宮の疾患があります。

中高齢のうさぎでは高い確率で発症することが知られており、命にかかわるケースも少なくありません。ここでは、うさぎの子宮疾患の種類や症状、診断、治療について獣医師が詳しく解説します。

2.うさぎに多い子宮の病気

子宮腺癌

うさぎの子宮疾患の中で最も多いのが子宮腺癌です。4歳以上のうさぎの半数以上が子宮腺癌を発症するという報告もあります。うさぎは1年中繁殖が可能で野生のうさぎは妊娠、出産を繰り返しています。妊娠しない飼育下のうさぎはホルモンのバランスが崩れ子宮疾患になりやすく子宮腺癌に移行することがあります。進行すると肺や肝臓に転移し、命を落とす原因となります。

子宮内膜過形成

子宮内膜がホルモンの影響で異常に増殖する状態です。進行すると不正出血を起こしたり膿が溜まり、子宮腺癌の原因にもなります。

子宮水腫・子宮内膜炎

子宮の中に液体がたまったり、細菌感染を起こし炎症が起きる病気です。軽度では気づきにくいですが、悪化すると膿がたまり、全身状態が悪くなる原因となります。

3.症状

子宮疾患の初期には元気食欲などにほとんど変化は見られません。

分かりやすい症状としては血尿が挙げられ、腫瘍や子宮の内膜に異常がある場合によく見られます。尿検査で初めてわかるものや明らかに赤い尿など程度は様々です。また、膿のような白っぽい分泌物が見られることもあります。

他にも腫瘍や膿が溜まった状態が続くことによりお腹が張ることもあります。

重度の出血や長引く子宮疾患の場合は元気食欲低下などの症状が見られることもあります。

子宮疾患は初期では症状がわかりにくいため、気づいたときには進行しているケースもあります。

4.診断と治療

<診断>

動物病院では以下のような検査を行います。

身体検査:一般状態をチェックしつつお腹を触って異常がないかを確認します。

レントゲン検査:子宮の腫大、腫瘍の転移の有無を確認します。

エコー検査:子宮内の構造変化や液体貯留を評価します。

血液検査:炎症反応や貧血の有無を確認します。

確定診断は難しい場合もありますが、必要な検査を組み合わせて慎重に診断を行います。

<治療>

外科手術(避妊手術=卵巣子宮摘出)

全ての子宮疾患で進行する可能性があり、様々な併発疾患を引き起こす危険性があります。そのため現時点で最も有効なのは外科的に卵巣と子宮を取り除くことです。取り除いた卵巣と子宮は病理検査に送ることにより病気の確定診断が可能です。
子宮腺癌であっても、転移がなければ手術によって根治できる場合があります。手術は麻酔が必要になるので血液検査など術前検査を行い麻酔リスクの評価を行った上で手術実施の判断をします。

5.まとめ

うさぎの子宮疾患は非常に発生頻度が高く、命にかかわる病気です。
予防は早期に避妊手術をすることです。卵巣と子宮を摘出するので根本的な予防ができます。子宮疾患は2歳以降の子で見られるので1歳までの避妊手術が理想的です。

繁殖の予定が無い子に関しては早めにご検討されることをおすすめします。当院では麻酔前の術前検査や避妊手術も実施可能です。

健康チェックも行なっておりますのでお気軽にご相談ください。


武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の 犬・猫やウサギ・ハムスター・フェレット・モルモット・デグー・フクロモモンガ・インコ・トカゲ・カメ・カエルなどのエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。 セカンドオピニオンとしても気軽にお頼りください!

地域の皆様向けに、当院におけるエキゾチックアニマル診療を解説しています。ご興味がある方はこちらも確認ください。
エキゾチックアニマル診療【武蔵野・三鷹・小金井・調布・西東京地域の皆様】

武蔵野まりん動物病院 動物たちと飼い主様が気軽に立ち寄れる、あたたかく居心地のよい地域のかかりつけ動物病院”を目指しています。犬や猫はもちろん、ウサギ・フェレット・ハムスターなどのエキゾチックアニマルにも対応し、一頭一頭のペットに寄り添いながら、飼い主様とご相談のうえ、適した治療とケアをご提案いたします。
24時間web予約 動物病院ブログ タップで電話する