【頬袋脱】ハムスターの口から何か飛び出ている!?
1.はじめに
ハムスターは食べ物を頬袋に詰め込む習性を持つ、愛らしい小動物です。頬袋は非常に柔軟で、たくさんの食べ物を一度に運ぶことができます。しかし、この頬袋が裏返って口の外に飛び出してしまう病気「頬袋脱」があるのをご存じでしょうか。
頬袋脱は放置すると感染や壊死を起こす危険があり、早急な対応が必要です。今回は、ハムスターの頬袋脱の原因・症状・治療について獣医師がわかりやすく解説します。
2.頬袋脱とは?
ハムスターの頬袋は、口の両側にある袋状の構造で、食べ物や巣材を詰めて運ぶための器官です。皮膚と粘膜でできており、かなり奥深くまで伸びて肩のあたりにまで達することもあります。そのため、ハムスターにとって頬袋は「買い物袋」のような役割を果たしているのです。
通常であれば食べた物はうまく出し入れできますが、何らかのトラブルで袋が裏返り、口の外に飛び出してしまうことがあります。これが「頬袋脱」です。
3.頬袋脱の原因
頬袋脱はさまざまな要因で起こります。主な原因は以下の通りです。
① 食べ物や異物による刺激
・大きすぎる食べ物
・鋭利な形の食べ物(ひまわりの種の殻、硬いペレットなど)
・敷材の木片や布片など
これらが頬袋に引っかかると、粘膜が傷つき、炎症を引き起こします。
② 感染や炎症
頬袋に細菌感染や炎症が起こると、腫れやただれが生じて滑りが悪くなり、頬袋脱のきっかけになります。
④ 潰瘍や腫瘍
まれに頬袋の中に腫瘍やしこりができ、そのせいで袋が裏返って出てきてしまうこともあります。
4.症状
頬袋脱が起こると、見た目で比較的すぐに気づくことができます。
・口の横からピンク色〜赤色の組織が飛び出している
・出てきた部分が乾燥してカサカサになっている
・ハムスターが前足で口を気にする
最初はきれいな粘膜ですが、時間が経つと乾燥や細菌感染により腫れや壊死が進行してしまいます。
5.診断と治療
<診断>
頬袋脱は、急性に発生し、見た目の変化で診断が可能です。動物病院では口腔内を確認し、炎症や腫瘍の有無を調べます。
<治療>
治療法は症状の程度によって異なります。
・飛び出した頬袋を洗浄し、再び口腔内に戻します。
・戻した後、再脱出を防ぐために頬袋の部分を縫合することがあります。
・頬袋の損傷がひどい場合や再発を繰り返す場合、頬袋を摘出する手術が行われることもあります。
・片側の頬袋を摘出しても生活には支障がありません。
・腫瘍が疑われる場合は切除した頬袋を病理検査に出すことがあります。
・抗生物質や消炎薬を使用して細菌感染を防ぎます。
・必要に応じて流動食の給餌を行います。
6.まとめ
完全に防ぐことは難しい病気ですが、以下の点に注意するとリスクを減らすことができます。
・大きすぎる食べ物や尖った食材は与えない
・敷材は細かい紙や柔らかいチップを選ぶ
・ケージの金網をかじらせないようにする
「ハムスターの口から何かピンク色のものが出ている」と気づいたら、すぐに動物病院を受診することが大切です。
頬袋はハムスターにとって大切な器官ですが、片方を失っても生活は可能です。早期に適切な治療を受けることで、回復し再び元気に暮らせるケースも多くあります。 当院でもハムスターさんの診察は可能です。
気になることがあればお気軽にご相談ください!
武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の 犬・猫やウサギ・ハムスター・フェレット・モルモット・デグー・フクロモモンガ・インコ・トカゲ・カメ・カエルなどのエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。 セカンドオピニオンとしても気軽にお頼りください。