デグーの糖尿病 〜原因・症状・治療について〜
1.はじめに
人懐っこく、鳴き声や仕草が愛らしいデグーは近年、ペットとしての人気が高まっています。そんなデグーですが、実は遺伝的に糖尿病になりやすい体質を持っていることをご存じでしょうか?
今回は、デグーの糖尿病について、原因から症状、治療、そして予防のために飼い主さんができることを獣医師がわかりやすく解説します。
2.糖尿病とは?
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。
主な原因は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量が足りないか、働きが悪くなることです。インスリンは血液中の糖を細胞に取り込み、エネルギーとして利用できるようにします。このインスリンが不足したりうまく働かなくなると血液中の糖が高いままになり様々な症状が現れます。
本来デグーは乾燥地帯に生息する草食性の動物で、野生下では低糖分の植物や樹皮、種子などを食べて暮らしています。進化の過程で糖質を効率よく利用する仕組みを持たず、甘いものを摂ると体に大きな負担がかかりやすいのです。
デグーの糖尿病の発生経路について明らかなことは分かっていませんがインスリンの働きが弱くなることにより糖尿病になりやすい傾向にある動物とされています。
この状態が続くとさまざまな合併症を引き起こし、生活の質を大きく下げるだけでなく、命に関わることもあります。
3.主な原因
デグーの糖尿病は遺伝的要因と飼育環境要因が重なって発症します。
先述のようにデグーは本来から糖代謝が弱い動物であり個体によっては糖尿病を発症しやすい遺伝的体質を持っていることもあります。また、果物やドライフルーツ、おやつの与えすぎも原因となります。デグー用として販売されているおやつの中にも糖分が多いものがあり、注意が必要です。さらにケージでは運動不足になりがちです。運動不足は肥満につながり、糖尿病リスクをさらに高めます。
4.主な症状
糖尿病の初期症状は目立たないこともありますが、進行すると以下のような変化が見られます。
・元気がない、食欲低下
・尿の量が多く、お水をたくさん飲む
・痩せる
・目が白くなる(糖尿病に伴う白内障)
・毛並みが悪くなる
5.診断と治療
<診断>
動物病院では身体検査に加え、以下のような検査を行います。
尿検査:一般的に糖尿病の診断には持続した高血糖を証明するため血液検査が必要ですがデグーの場合は繰り返す採血は現実的ではないため体に負担の少ない尿検査から始めます。尿糖やケトン体の有無を確認し尿糖の出現の頻度を見ることで判断します。
その他の疾患がないかを調べるためにレントゲン検査やエコー検査を行う場合もあります。
<治療>
デグーの糖尿病治療は、犬や猫と同じようにインスリン注射が必ずしも可能とは限りません。そのため、主に以下の方法がとられます。
・低糖質・高繊維のデグーフードを使用する
・果物や糖質の高いおやつはやめる
・チモシーなどの牧草を中心に与える
状況によってはインスリン治療を検討することもありますが、デグーでは限界があるため、症状に応じた薬の使用に留まる場合もあります。
6.まとめ
糖尿病は発症すると生活にさまざまな制限がかかり、寿命を縮めるリスクも高まります。しかし、正しい食事管理と運動、そして日々の観察によって、糖尿病を予防・早期発見することができます。
「おやつを喜ぶから」とつい果物を与えたくなってしまいますが控えめにしましょう。
当院でもデグーさんの診察を行なっています。
気になることがあればお気軽にご相談ください。
武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の 犬・猫やウサギ・ハムスター・フェレット・モルモット・デグー・フクロモモンガ・インコ・トカゲ・カメ・カエルなどのエキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」です。 セカンドオピニオンとしても気軽にお頼りください。