うさぎの不正咬合とは?~原因・症状・治療・予防について~
~原因・症状・治療・予防について~
1.不正咬合とは?
うさぎは生涯にわたってすべての歯が伸び続ける動物です。
上下の前歯(切歯)と奥歯(臼歯)の両方で食べ物をすりつぶしますが、自然界では硬い草や木の皮などをかじって過ごすため、歯は毎日すり減り、ちょうど良い長さを保っています。しかし家庭での飼育では与える食事や生活環境によっては歯が十分に削れず、噛み合わせがずれることがあります。これを「不正咬合」といいます。
噛み合わせがずれると歯が異常に伸びたり尖ったりしてしまい、口の中を傷つけたり食事ができなくなったりします。放置すると体重減少や消化不良を引き起こすこともあります。
今回は飼い主さんに知っておいてほしい不正咬合の原因や症状、治療法などについて獣医師がお話します。
2.原因
うさぎの不正咬合はいくつかの原因で起こります。
①先天的な要因
生まれつき顎の形や歯の生え方に異常がある場合。特にネザーランドドワーフなどの小型種は顎が小さいため起こりやすいと言われています。
②後天的な要因
・硬い繊維質の食事(牧草)をあまり食べず歯が均等にすり減らす機会がない
・ケガや歯の折れ
・咀嚼頻度の低下
3.主な症状
不正咬合になると次のような症状がみられます。
・食欲不振(特に硬いものを食べなくなる)、体重減少
・よだれが増える(顎の下や前足の毛が湿っている)
・歯ぎしりをする
・目や鼻の周囲に涙や鼻水が出る(伸びた奥歯が鼻涙管を圧迫するため)
※これらの症状は徐々に進行することが多く、初期症状は「少し食べにくそう」くらいのことも多いです。
4.診断と治療
<診断>
動物病院では口の中を専用の器具で確認し上下の歯が伸びているかを観察します。奥歯の異常は肉眼では見えにくいため必要に応じて頭部のレントゲン検査を行い歯の根元や顎の骨の状態をチェックします。
<治療>
不正咬合の治療は原因や状態によって異なります。
1.歯切り・歯削り
伸びすぎた歯を専用の器具で切ったり、削ったりします。処置内容やうさぎさんの状態によっては鎮静下で行う場合もあります。
鎮静と聞くと心配になってしまう飼い主さんもいらっしゃると思いますが鎮静をかけることで口をしっかり開くことができるため歯の状態を細かく見ながら処置できるほか、無理な保定をする必要がなくなり安全性が高まることが多いです。
2.内服の処方
伸びた歯で口腔粘膜や舌が傷ついていると痛みを伴うことがあり食欲低下の原因になる可能性があるので消炎鎮痛剤や胃腸薬などを処方することがあります。
3.食事の改善
チモシーなどの繊維質の多い牧草を主食にすることで歯を自然に削る効果が期待できます。
不正咬合を放っておくと食欲が落ちて体重が減少し、胃腸の動きの低下(うっ滞)の原因になります。また、歯根が炎症を起こし膿瘍ができることもあり、治療が難しくなります。
早期発見・早期治療が何よりも大切です。
5.まとめ
うさぎの不正咬合は決して珍しい病気ではありませんが日々の食事や飼育環境で予防できる可能性があります。牧草を常に食べられるようにしたりかじり木を与えることも予防の一つです。当院でも身体検査でお口の中を診させていただいています。
食べ方がいつもと違う、よだれが多いなど、ちょっとした変化でも気になることがあればいつでもご相談ください!
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