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【若い子でも発症する】猫の肥大型心筋症について~症状や治療法などを解説します~

【若い子でも発症する】猫の肥大型心筋症について
~症状や治療法などを解説します~

はじめに

猫の心筋症という病気を聞いたことはありますか?
うちの猫は動物病院で定期的に心臓の音を聞いてもらって問題ないと言われているから心臓は大丈夫!
と思われている飼い主様がいるかもしれません。
しかし実際には心臓の音が問題ない猫ちゃんにおいても心筋症を患っていることは少なくありません。
そこで今回は猫の心臓病で肥大型心筋症について獣医師が解説します。

心臓の働き

心臓は心筋という筋肉でできており、右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋に分かれています。
血液の流れ
全身→右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身
拡張と収縮を効率よく行うこと(ポンプ機能)で、肺で交換された酸素を全身に運んでいます。

肥大型心筋症とは

心筋が異常に分厚くなることで心臓の内部が狭くなり、心臓のポンプ機能が低下する病気です。
特に左心室の筋肉が最も厚くなりやすく、左心室の内部が狭くなり左心室内に十分な量の血液をためることができなくなります。その結果
・全身に送る血液量が少なくなる。
・左心房内で血液が滞留し、血栓ができやすくなる。
・肺から左心房に血液をうまく送れなくなり肺に水が溜まる。
といった病態になってしまいます。
ただし進行しないと症状が出ることは少ないです。逆にいうと肥大型心筋症により症状が出たら進行した病態ということになります。

肥大型心筋症の原因は?

メインクーンやラグドール、アメリカンショートヘアなどの種類で遺伝的な要因があるとされていますが、それ以外の猫種でも起こります。
若齢から老齢まで幅広く発症し、雄猫で多いと報告されています。

どういった症状が起こる?

初期には以下の症状がみられることがありますが、症状が明らかでないことも多いです。
・最近疲れやすい
・運動後に開口呼吸をする

進行すると以下の症状がみられるようになります。
・元気がない
・食欲がない
・苦しそうな呼吸をする
・咳をする
・後ろ足が急に動かなくなる

どのように診断するの?

診断には以下の検査が有用です。

♦聴診
健康診断などで来院された際に心雑音や不整脈の有無を確認することで心臓病の可能性を考えます。ただし、心筋症を患っていても心雑音や不整脈がない猫もいるので注意が必要です。

♦心臓超音波検査
肥大型心筋症を診断するのに最も重要な検査です。心筋の厚さを計測したり、心臓の動きが正常か、異常な血流がないか、心拡大がないか、などを確認します。ただし、この検査には猫ちゃんの協力も必要になります。

♦血液検査
心臓から分泌されるホルモンの濃度を測定します。

♦胸部レントゲン検査
主に心臓の大きさを確認します。

また、心筋を厚くさせる病気は肥大型心筋症だけではありません。そこで、前述の検査で肥大型心筋症を疑った症例に対し、以下の病気を除外する必要があります。
♦高血圧症
♦甲状腺機能亢進症
♦腫瘍
♦脱水
♦頻脈 など

治療法について

肥大型心筋症は治すことが難しく、症状を落ち着かせて進行を遅らせることが大切になります。

現在のステージに合わせて以下のような薬を使用します。
♦β遮断薬(心臓の負担を軽減する)
♦抗血栓薬(血をさらさらにする)
♦利尿薬(体の余分な水分を外に出す)
♦強心薬(心臓の収縮力を強める)

まとめ

肥大型心筋症は早期発見が大切となります。
身体検査だけでは異常をとらえることが難しいため、無症状であっても一度は心臓の超音波検査を行うことが大切です。
当院では、6歳まで(子猫期~成猫期)は1年に1回、7歳以降(中高齢期)は半年に1回の健康診断を推奨しています。
お近くの方は些細なことでもお気軽にご相談ください。


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