武蔵野まりん動物病院ブログ blog

鳥のマクロラブダス症(メガバクテリア症)について ~実は命に関わる恐ろしい病気~

鳥のマクロラブダス症(メガバクテリア症)について

~実は命に関わる恐ろしい病気~

マクロラブダス症はあまり聞きなじみがないかもしれませんが、動物病院ではかなりみることの多い病気です。さらに、放置しておくと命に関わることもあります。

今回はそんなマクロラブダス症について獣医師が解説します。

1.マクロラブダス症とは


この病気は、以前は分類不明な大型の細菌が原因と考えられていたため、メガバクテリア(大きな細菌)症と呼ばれていました。しかし近年では細長い形状をした真菌(カビ)が原因であることが分かり、その真菌はマクロラブダスと命名され、この病気はマクロラブダス症と呼ばれるようになりました。

日本ではセキセイインコでの発生が多いですが、オカメインコやマメルリハインコ、キンカチョウなどでも発生することがあります。

原因として、マクロラブダスを保有している親鳥が幼鳥に吐き戻した餌を与える際に感染することが多いと考えられています。

2.症状

初期や軽度の感染では症状を認めないこともありますが、感染が進行すると下記のような胃炎症状を含む消化器症状を認めるようになります。

嘔吐
吐き気
食欲不振
未消化便
黒色便

この中でも黒色便は重篤な症状であり、胃に穴が開いてしまっている可能性があり命に関わることが多いです。
また、黒色便にならなくても、重篤な胃炎症状により栄養失調が持続し、亡くなってしまうケースもあります。

3.診断

便を顕微鏡で確認し、マクロラブダスを発見することで診断します。

また、状態次第では補助的にレントゲン検査を実施し、胃の拡張具合や、ほかの病気が隠れていないかを確認こともすることもあります。

4.治療

マクロラブダスに対して、抗真菌薬の飲み薬や注射を使用します。胃の粘膜の深くに侵入することもあり、最低でも1か月間は投薬を行うことを推奨しています。

また、すでに嘔吐などの消化器症状が認められる場合には、胃粘膜保護薬などの対症療法も並行して行います。

マクロラブダス症は、幼鳥期に症状を発現しやすく、早期に発見し適切な治療を行うことで症状の改善が期待できます。ただし、重篤化した場合や、成鳥になってから症状がみられた場合は、マクロラブダスがいなくなったとしても慢性胃炎として症状が残ってしまう場合があります。また前述の通り、黒色便になると命の危険性が高まってしまうので注意が必要です。

5.予防

鳥の飼育を始めてからの絶対的な予防法は存在しませんが、早期発見が重要なので、鳥をお迎えしたら早めに健康診断として糞便検査を行うようにしましょう。1回の検査で陰性だった場合や、治療して陰性になった場合でも、胃の粘膜に潜伏している場合もあるため、定期的な糞便検査を行っていくことも大切です。

また、免疫力が低下すると発症リスクが高まるため、お迎え時、季節の変わり目、換羽期などは特に注意が必要です。

まとめ

マクロラブダスは広く蔓延しているにもかかわらず、命を落とす危険性のある病原体です。そのため、症状がみられなくても早めのうちに便検査を行うことが大切です。もし嘔吐などの胃炎症状がみられたとしても、早期に治療を行うことができれば完治することも多いです。

当院では鳥さんをお迎えしてはじめての健康診断として、基本的には便検査そのう検査を行うようにしています。

また、必要に応じて遺伝子検査や性別判定のために血液検査も行っています。

不安なことも多いと思いますが、飼育のアドバイスも丁寧に行っていますのでお気軽にご相談いただければと思います。


武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市地域の
犬・猫・エキゾチックアニマルを診察する「武蔵野まりん動物病院」

24時間web予約 動物病院ブログ タップで電話する