【日常ケア】犬や猫の気になる口臭、改善できるかも?スケーリング(歯石除去)について
【日常ケア】犬や猫の気になる口臭、改善できるかも?スケーリング(歯石除去)について
はじめに
はじめに
「最近うちの子の口がすごく臭う…」 「昔よりニオイが強くなった気がする」
このように感じている飼い主さん、その口臭、病気のサインかもしれません。 わんちゃん、猫ちゃんも歯垢や歯石の蓄積、歯周病、内臓疾患などが原因で口臭が発生します。
この記事では、口臭の原因と対策、動物病院で行う医療処置について、獣医師の立場からわかりやすくご紹介します。
1.ペットの口臭、どれくらいが普通?
1.ペットの口臭、どれくらいが普通?
犬や猫にも多少の口臭はありますが、
- ・腐ったようなニオイ
- ・アンモニアのようなツンとする臭い
- ・甘酸っぱい独特な臭い
…などが気になる場合は、病気が関係している可能性が高いです。
特に「以前より急に臭くなった」という変化には要注意です。
2.口臭の原因と注意すべき病気
- 歯周病
2.口臭の原因と注意すべき病気
もっとも多い原因です。歯垢がたまり、それが硬くなって歯石になると細菌が繁殖しやすくなり、歯茎の炎症や歯のぐらつき、膿、強いニオイを引き起こします。
進行するとあごの骨が溶ける、目の下が腫れる、歯が抜けるなど深刻な状態にもなりかねません。
- 口内炎・口腔腫瘍
口の中は見ることが難しいためトラブルに気がつきにくい場所ですが猫に多い口内炎や、まれに見られる口腔内の腫瘍も、強い口臭を伴うことがあります。
- 内臓疾患
腎不全(アンモニア臭)、糖尿病(甘いニオイ)、肝機能低下などでも、重症な場合は口臭が生じることがあります。
3.口臭対策のための医療処置:スケーリングとは?
3.口臭対策のための医療処置:スケーリングとは?
口臭の原因が歯石や歯周病によるものと診断された場合、「全身麻酔下でのスケーリング(歯石除去)」が必要になります。
- スケーリングとは?
スケーリングは、専用の器具を使って歯石をきれいに取り除く処置です。8-9割の汚れを除去することが出来ます。 歯の表面だけでなく、歯茎の下(歯周ポケット)に入り込んだ汚れを除去することで、細菌の温床を減らし、炎症を抑えます。
- なぜ全身麻酔が必要なの?
犬や猫にとって、口の中をじっと開けたままにすることは非常にストレスになります。 また、歯周ポケット内などの細かい操作や超音波器具による処置を安全に行うために、基本的には全身麻酔が必要です。
当院では術前検査(血液検査やレントゲン検査など)をしっかり行なったのちにスケーリング実施の判断をします。
- スケーリングのタイミングは?
次のような症状が見られたら、歯石の蓄積や歯周病のサインかもしれません。早めに動物病院での相談をおすすめします。
・口臭が気になる
・歯が黄ばんでいる、茶色い歯石がついている
以下のような症状があると、スケーリング(歯石除去)だけでなく、歯周病の治療や抜歯が必要になる場合もあります。放っておかず、早めのケアが大切です。
・おもちゃやガムに血がついていることがある
・歯茎が赤く腫れている
・歯の根元が見えてきた
・ごはんを食べにくそうにしている/こぼす
・顔や口を触られるのを嫌がる
- 抜歯が必要になることも
スケーリングを行う際には、全身麻酔下でお口の中を詳しく観察することが可能になります。その際、普段の診察では見えにくかった奥歯がグラグラしている、歯の根元が露出している、歯茎が大きく後退しているなどの異常が見つかることがあります。
特に奥歯(臼歯)は、食べ物のカスがたまりやすく歯周病が進行しやすい部位です。見た目はしっかりしているように見えても、実際には歯を支えているあごの骨がすでに溶けていることもあり、炎症の原因や痛みのもとになるため、抜歯が必要と判断されるケースがあります。
4. こんな症状があればすぐ受診を
4. こんな症状があればすぐ受診を
以下の症状がある場合は、歯や口のトラブルの可能性が高いため、放置せず受診をオススメします。
・強い口臭がある
・食べ方がゆっくり・痛がるようなそぶり
・よだれが増えている(血や膿が混じることも)
・顔の一部が腫れている
・永久歯がぐらついている、抜けた
5.ご家庭でできる予防ケア
5.ご家庭でできる予防ケア
スケーリング後も、日頃のケアを行うことで再発を予防できます。
- 歯磨き
最も効果的な予防法です。犬猫用の歯ブラシ、歯磨きペーストを使いましょう。最初は口の周りを触る練習から始め、少しずつ慣らしましょう。歯磨きが苦手な子はデンタルシートを使うのも良いです。
- デンタルガム・おもちゃ
歯磨きが難しい子には、噛むことで歯垢を減らす補助的アイテムもおすすめです。ただし硬すぎるもの(鹿の角、牛骨など)は歯を折る危険もあるため与えないでください。
- 定期的な口腔チェック
年1〜2回の健康診断の際に歯の状態もチェックします。歯の温存のために早期発見・早期治療が大切です。
まとめ
まとめ
犬や猫の口臭は、口腔内の病気や体全体の健康状態を知らせるサインかもしれません。 日々のケアだけでなく、必要に応じたスケーリングなどの医療処置も重要です。
「うちの子もそろそろ歯石が気になるかも…」 「スケーリングのタイミングを考えたいな」
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、定期検診・麻酔前検査・スケーリング・予防ケアのご提案まで、サポートいたします。