武蔵野まりん動物病院ブログ blog

【異物】犬や猫の誤食にご注意を!身近な危険と対策まとめ

【異物】犬や猫の誤食にご注意を!身近な危険と対策まとめ

はじめに

「床に落ちたビニールをいつの間にか飲み込んでいた」

「チョコレートを盗み食いしてしまった」

こうした“誤食”のトラブルは、動物病院でも年間を通して非常に多くご相談を受ける内容のひとつです。

一見「ちょっとしたイタズラ」のように思えるかもしれませんが、誤食は命に関わる重大な事故につながることもあります。

この記事では、わんちゃん、猫ちゃんにとってどんなものが危険なのか、そしてどのように対策すればよいのかをご説明します

 

1.誤食とは? 

誤食とは、本来食べるべきでないもの、つまり異物や有害なものを誤って飲み込んでしまうことを指します。これには、おもちゃのパーツやビニール袋、紐、薬品、人間の食べ物などが含まれます。また、有害な食べ物を食べてしまうことで中毒症状を起こす場合もあります。特に犬や猫は好奇心が強く、何でも口に入れて確かめようとする習性があるため、誤食は非常に多いトラブルの一つです。

犬は、においに敏感で嗅覚を頼りに物を調べることが多く、食べ物でなくても口に入れてしまうことがあります。さらに食欲旺盛で、飼い主さんの食べ物に興味を持ちやすい性質もあり、誤って危険なものを食べてしまうリスクがあります。

猫は、犬よりも慎重に物を扱う傾向がありますが、その反面、細長いものや動くものに対する狩猟本能が強いため、紐や毛糸、ビニールのような細いものを遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。こういった異物は消化管に詰まったり、傷つけたりすることがあり注意が必要です。

 

2.誤食による体への影響とリスク

誤食による健康被害は、誤って口にしたものの種類や量、そして体内での移動状況によって異なり、場合によっては命に関わることもあります。

 

︎物理的な問題による症状

・異物の詰まり(閉塞)

  食道や胃、腸に異物が詰まると、嘔吐や食欲不振、元気の低下、便秘などの症状が現れます。詰まりの部位や程度によっては開腹手術が必要となる場合もあります。

・内臓の損傷

  とげや鋭利なものを飲み込むと、消化管の壁を傷つけて炎症や出血を引き起こす恐れがあります。

 

︎中毒性物質による症状

ペットにとって有害な物質や食べ物を誤って摂取すると、様々な中毒症状が発生します。主な例として以下があります。

チョコレート

  テオブロミンという成分が含まれており、中枢神経の異常興奮や心拍異常、けいれんなどを引き起こします。

玉ねぎ・ニンニク

  赤血球が破壊される溶血性貧血を起こし、全身の酸素運搬能力が低下します。

キシリトール

  砂糖代替品として使われますが、急激な低血糖や肝障害の原因となります。

アルコール・カフェイン

  神経系に影響を与え、震えやふらつき、重症の場合は昏睡状態に至ることもあります。

 

症状の現れ方と注意点

一部の中毒は摂取直後に症状が出ますが、中には数時間から数日かけて徐々に体調が悪化するケースもあります。そのため、「すぐに異変がないから大丈夫」と安心せず、誤食に気づいたら早めに動物病院に相談することが重要です。

 

3.動物病院でできること

催吐処置(吐かせる処置)

誤って有害なものや異物を食べてしまった場合、薬を使って嘔吐を促し胃の中のものを吐き出させることがあります。これにより、体内に留まる有害物質の量を減らせます。ただし、刺激性があるものや鋭利なものを誤食した場合は、逆に喉や食道を傷つける恐れがあるため、獣医師が慎重に判断して行います。

 

内視鏡検査(異物の確認と除去)

催吐処置で吐き出せなかった場合や、異物が大きい・形が複雑であったり、食道や胃の中に異物があるかを詳しく調べる必要があるときは、麻酔下での「内視鏡検査」を行います。内視鏡は細長いカメラ付きの管で、口や肛門から挿入し、消化管の中を直接見ることができます。特殊な器具を使って食道や胃の異物を取り出すことも可能で、手術より身体への負担が少ないため、動物さんへの負担を軽減できます。当院では内視鏡の対応も可能です。

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吸着剤の使用

チョコレートやたばこ、薬剤などの中毒物質を誤食した可能性がある場合には活性炭などの吸着剤を処方することがあります。これは消化管内で有害成分を吸着し体内への吸収をできるだけ防ぐための処置です。吐かせたあとの追加処置や吐かなかった場合の代替処置として用いられます。

 

開腹手術

内視鏡で胃の中のものが取り出せなかった場合や腸管に異物が詰まった場合は開腹手術が必要になることがあります。特に腸管に異物が詰まってしまった場合は嘔吐・元気食欲の減退・便が出ないなどの症状が引き起こされ緊急の対応が必要になることもあります。

開腹手術後は動物さんの様子を見ながら1週間前後の入院となります。

4.誤食を防ぐためにできる日常の工夫

〇環境整備が第一!

・ゴミ箱はフタ付きにする(キッチン・トイレなど特に)

・飼い主さんの衣類・アクセサリー類を放置しない

・薬やサプリは高所または密閉容器に保管

・人間のご飯やおやつはペットの手の届かないところに置く。

 

〇おもちゃの見直し

噛み壊せる柔らかい素材や、小さすぎるおもちゃは誤飲リスクが高くなります。使用後は片付けをし、定期的に破損チェックをしましょう。

5.誤食してしまったら…まず何をすべき?

︎慌てず、まずは落ち着いて確認を

何を・どれくらい・いつ食べたか、口の中に残っているものがないかを確認してください。誤食したと思われる物の「パッケージ」があれば保管して持参するとわかりやすいです。食べた内容によっては催吐処置(吐かせる)、内視鏡検査、点滴治療、入院が必要なこともあるので動物病院に相談してください

まとめ:事故を未然に防ぐために

犬や猫の誤食は、ちょっとした油断や習慣の中で起こります。

・お家を動物さん目線でチェック

・危険な物は手の届かない場所に

・もしもの時は迷わず動物病院へ連絡!

大切なわんちゃん・ねこちゃんの命と健康を守るため、今一度おうちの安全を見直してみてください。

ご不安なことがあれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

 

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