【フェレットの飼い主様必見】フェレットに多い副腎疾患について症状や治療法などを解説します
【フェレットの飼い主様必見】フェレットに多い副腎疾患について症状や治療法などを解説します
フェレットと暮らしている方は一度は「副腎疾患」や「インスリノーマ」という病気を聞いたことがあるかもしれません。
その2つは併発することもあり、フェレットの日常の診察でもしばしばみる病気です。
特に中高齢のフェレットで発生が多いとされています。
今回はその中でも「副腎疾患」に関して症状や治療法などを分かりやすく解説します。
<フェレットの副腎疾患とは>
副腎とは、左右の腎臓のやや内側、頭側に位置する4~5mm程度の扁平上の臓器です。生命を維持するために様々なホルモンを分泌する機能を持っています。
そして、フェレットの副腎の病気の多くが副腎腫瘍や副腎過形成というものです。このような副腎疾患に罹ると、副腎から分泌される性ホルモンの量が過剰になり、その結果様々な症状を引き起こします。
他の動物と比較してもフェレットは副腎疾患に罹りやすく、その原因として早期の不妊手術や遺伝的要因が関与しているのではないかと考えられています。
<症状>
・背中や尾の毛が薄くなってきた(基本的に左右対称性)
・外陰部が腫れている(メス)
・乳首が赤く腫れている
・乳腺が腫れている
・排尿しづらそう
・攻撃性が増してきた
・マウンティングをするようになった
・お腹が腫れてきた など
これらが副腎疾患における特徴的な症状で、一部を除いては元気・食欲には影響しないことが多いです。
<診断>
基本的には、特徴的な症状と身体検査、超音波検査で診断します。
症状
前述の通り、左右対称性の脱毛や、性格の変化などがあります。
身体検査
背中や尾の毛の薄さや、触診にて副腎や前立腺、乳腺、陰部の腫れ具合などをを評価します。
超音波検査
左右の副腎が大きくなっていないか確認します。
オスでは副腎疾患の結果前立腺肥大を起こすフェレットもいるので一緒に確認します。
また、似たような症状を起こすほかの病気を除外するために血液検査やX線検査、皮膚検査も同時に行うことが多いです。
<治療>
主に外科手術と内科療法の2つがあります。
外科手術
腫大した副腎を外科的に摘出します。この治療が唯一の根治が見込まれる治療です。
フェレットの年齢や全身状態、併発疾患の有無などを慎重に考えて治療方針を決めることが重要です。
内科療法
酢酸リュープロレイン(製品名:リュープリン)を月に1回皮下注射をします。この薬は脳に働きかけて副腎からの過剰なホルモン分泌を抑制します。効果はかなり良く、副腎疾患による症状の改善が期待されます。
ただし、あくまでこの治療は症状を抑えることが目的であり、副腎そのものを治療しているわけではないため、定期的な副腎の検査が必要になります。
<まとめ>
フェレットの副腎疾患は確実な予防法は確立されておらず、また初期のうちには症状が軽度で分かりづらいことも多いです。そのため、定期健診を通じて早期発見をすることが大切となります。
当院では、フェレットは年に1回は健康診断をお勧めしています。内容に関しては相談になりますが、血液検査、X線検査、超音波検査を実施することが多いです。鎮静なしで行うことがほとんどですが、性格によっては鎮静をかけて行うこともあります。
健康診断や治療のことなど、些細なことでも気になることがあればお気軽にご相談ください。