デグーの消化器疾患~症状・診断・治療について~
~症状・診断・治療について~
1.はじめに
デグーさんでよく見られる疾患は不正咬合などの歯科疾患、脱毛や感染症などの皮膚疾患などが挙げられますがこれらに次いで消化器疾患もしばしば認められることがあります。
その内訳としては胃拡張が多く、他にも下痢などの症状が見られることもあります。
今回はデグーさんの消化器疾患について診断、治療などを獣医師が解説します。
2.原因と症状
<鼓腸症>
デグーでは何らかの原因によりガスを多く取り込んでしまう、もしくは消化管の機能が低下することで消化管内容物の停滞や腸内細菌叢の乱れが起こります。
この原因は歯が過長することで起こる不正咬合によるもの(ブログはこちら:デグーに多い不正咬合とは~原因や治療法に関して~)、消化管の機能自体が低下するもの、鼻炎などの呼吸器疾患によるものが考えられます。鼻の通り道が塞がれることで口呼吸になり空気をたくさん飲み込み胃や消化管にガスが溜まることで胃拡張が引き起こされます。ウサギで見られるようなストレスによる急性胃拡張は比較的少ないと言われています。
症状としては活動性の低下、食欲低下、うんちの量の減少、形のばらつきなどが見られます。鼻腔内疾患や不正咬合を伴う場合は鼻水や開口呼吸をする仕草が見られる場合があります。
<下痢>
犬や猫を含め、他のエキゾチックアニマルの下痢は内部寄生虫感染が見られることがありますがデグーでは稀であると言われており、デグーでみられる下痢は繊維分が不足したご飯が原因であることが一般的であるとされています。
症状としては下痢、軟便、血便などの便の異常、元気食欲の低下などが見られます。
3.診断・治療
<診断>
身体検査:まずは身体検査を行い体重測定、呼吸状態や活動性をチェックします。
口腔内検査:不正咬合の有無をチェックします。
糞便検査:うんちに異常がある場合は糞便検査を行い、内部寄生虫の有無、腸内細菌のバランスなどを確認します。
レントゲン検査:できる限りレントゲン検査を行い胃や腸にどの程度のガスや食べ物が溜まっているのか、腫瘤などの他の原因が無いかを確認します。鼻腔内疾患や呼吸器疾患が疑われる場合は頭部のレントゲンを撮影することもあります。
<治療>
消化管内容物の停滞やガス貯留がある場合、まずは消化管機能を改善することが重要です。
消化管機能亢進薬や点滴による水和、強制給餌による栄養補給を行います。強制給餌は粉末フードをぬるま湯に溶かしたものをシリンジで吸い、少量ずつ口の中に入れて行います。
腸内細菌叢の乱れを考慮して抗生物質を使用したり活動性やガス貯留の程度によっては鎮痛剤を使用することもあります。
不正咬合が認められる場合はその治療を行ったり消炎剤を使用する場合もあります。
4.まとめ
デグーさんのご飯の食いつきやうんちの状態は体調の変化を表すことが多くあります。
何となくご飯の食べが悪い気がする、うんちの形がいつもと違う、という症状は何らかの原因が隠れている可能性があります。
当院でもデグーさんの診察や治療を行っております。何か心配なことがございましたら些細なことでもお気軽にご相談ください!
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