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犬の膿皮症 〜症状・診断・治療について〜

犬の膿皮症〜症状・診断・治療について〜

1.はじめに

わんちゃんが皮膚を痒がっていたり、皮膚に赤みやかさぶたのようなものを見つけたことはありませんか?
皮膚のトラブルは犬にとても多く見られる問題のひとつで、その中でも代表的なものが膿皮症です。

膿皮症は、皮膚の痒みや赤みを引き起こし、見た目に変化が出るだけでなく、強い不快感から生活の質を大きく下げてしまうこともあります。

今回は「犬の膿皮症」について、原因や治療法などを獣医師が分かりやすく解説します。

2.膿皮症とは?

膿皮症とは、皮膚に常在している細菌(多くはブドウ球菌)が、何らかの理由で増えすぎてしまい炎症を起こす皮膚感染症です。

健康な皮膚にも細菌は存在していますが、皮膚のバリア機能や免疫が正常に働いている間は問題になりません。ところが、皮膚が弱ったり、かゆみで掻き壊したりすると細菌が過剰に増え、その結果膿皮症を発症します。

3.主な症状と原因

<症状>

膿皮症は皮膚のどの深さまで感染が成立しているかによって3つのタイプに分類されます。

〇表面性膿皮症
皮膚の表面で細菌が増殖している状態で皮膚が赤くなったり軽度な痒みの症状がみられます。

〇表在性膿皮症
表皮と毛包に病変が起こる皮膚炎です。皮膚の一部に湿疹やかさぶたのようなものがみられ、痒みの症状がみられます。

〇深在性膿皮症
皮膚の深層にある真皮と皮下組織に感染が起こる状態で表在性膿皮症の重症化や他の基礎疾患に伴い発症することが多くあります。痒みだけでなく痛みや熱感のような症状がみられ、悪化するとただれたり出血や膿が伴うことがあります。

<原因>

膿皮症の原因は「細菌の増殖」ですが、その背景にはさまざまな要因があります。

  • ・アレルギー性皮膚炎(食物アレルギーやアトピーなど)
  • ・外部寄生虫(ノミやダニなど)
  • ・内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症など)
  • ・皮膚のバリア機能の低下(高温多湿の環境、皮膚が弱い体質、不適切なスキンケアなど)

膿皮症そのものは感染症ですが、根本的には体質や他の病気が背景にあることが多いのが特徴です。

食物アレルギーやアトピーについてはこちら
犬の食物アレルギーとは~症状や治療方法について~

犬のアトピー性皮膚炎~診断や治療法について~

4.診断と治療

<診断>

動物病院では身体検査に加えて以下のような検査を行います。

細胞診:皮膚にスライドガラスやテープを押しつけてサンプルを採り、顕微鏡下で細菌や炎症細胞の有無を調べます。


培養検査:膿皮症を繰り返す場合や抗生物質を服用しても治らない場合はどの抗生物質が有効かを調べることがあります。

基礎疾患の検査:食物アレルギーやアトピー、内分泌疾患の可能性を考慮し、血液検査などを追加することもあります。

感染が深部に及ぶ可能性がある場合は皮膚の生検を行いさらに詳しく検査を行う場合があります。

<治療>

膿皮症の治療は、症状の重さや原因に応じて行います。

外用薬:表面性膿皮症や症状が限定的な場合は抗生物質を含む軟膏や消毒成分の入ったスプレーなどで局所的に治療します。

内服薬:症状のある部分が複数である場合や部位によっては抗生物質の飲み薬を使用する場合があります。数週間の投与が必要になることもあります。

痒み止めや抗炎症薬:痒みや炎症が強い場合は抗生物質と併用することがあります。

薬用シャンプー:抗菌作用のある薬用シャンプーで皮膚を清潔に保ち、細菌の増殖を防ぎます。定期的なシャンプーは再発予防にも役立ちます。

◯基礎疾患の治療

膿皮症はあくまで「結果」として起こる病気です。食物アレルギーやアトピー、内分泌疾患など、背景にある問題を同時に治療していくことが再発防止につながります。

5.まとめ

犬の膿皮症は、比較的よく見られる皮膚の感染症です。痒みや赤みといった症状から始まり、繰り返すことの多い皮膚トラブルです。膿皮症そのものを治すだけでなく、なぜ膿皮症になったのかという背景を探ることが大切です。
気になる症状がある際は早めに動物病院にご相談ください。当院でも膿皮症に関する診断や治療を行っています。

また、なかなか治らない皮膚トラブルは専門の先生の下での診断と治療が必要な場合もあります。
当院では9月より皮膚科専門医の診察を開始致しました。まずはご相談からでもお気軽にお越しください。

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