武蔵野まりん動物病院ブログ blog

猫の甲状腺機能亢進症〜症状・診断・治療について〜

猫の甲状腺機能亢進症
〜症状・診断・治療について〜

1.はじめに

今回は、猫ちゃんに見られる甲状腺機能亢進症についてお話しします。

文字通り、甲状腺の機能が必要以上に亢進する病気です。ご飯をよく食べるのに痩せてきた、と感じたら実はその裏に病気が隠れているかもしれません。飼い主さんにとっては聞き慣れない病名かもしれませんが、症状や治療法を知ることで健康管理に役立ちます。この記事では甲状腺機能亢進症の症状、診断、治療について獣医師が分かりやすく説明します。

2.甲状腺機能亢進症とは?

まず、甲状腺とは首のあたりにある小さな臓器です。喉のやや下の左右に一つずつあり甲状腺ホルモンを分泌する働きがあります。このホルモンは人間と同様に動物が生存するために必要な代謝を司るホルモンで休むことなく代謝のコントロールを行なっています。

甲状腺機能亢進症は7歳以上の猫で発症率が高い内分泌疾患の一つで甲状腺ホルモンの分泌が過剰になった状態を指します。甲状腺の腺腫や過形成、腺癌などによって起こります。

3.症状

甲状腺機能亢進症の猫は、見た目は元気に見えることがあります。しかし、以下のような特徴的な症状が出ることがあります。

食欲増加、体重減少:よく食べているのに痩せてくる
多飲多尿:水をたくさん飲み、尿の量も増える
活動性の亢進・興奮:今までより活動的になる、夜も興奮状態になる
毛並みの変化:毛が薄くなったり、パサつく

特によく食べるのに痩せるという症状が特徴として見られます。この状態が持続すると慢性的にさまざまな臓器に負担をかけることになり命に関わる場合もあるので早めに対処が必要な疾患です。

4.診断と治療

<診断>

動物病院では以下の方法で診断します。

身体検査:脱水や削痩が見られることがあり、また、頸部に腫大した甲状腺が触れることもあります。
血液検査:甲状腺ホルモン(T4)の上昇の有無を確認します。その他肝臓や腎臓の数値も合わせて確認します。
画像検査:他の疾患が無いかを調べるため必要に応じてレントゲン検査やエコー検査なども行います。

<治療>

甲状腺機能亢進症の治療には内服薬と療法食によるコントロールを目指す内科的治療と甲状腺を摘出する外科的治療の二つがあります。

内服薬:チアマゾールという甲状腺ホルモンの合成を阻害する薬剤を用いて症状をコントロールします。定期的に身体検査と血液中の甲状腺ホルモン濃度の測定を行い投与量を調節します。甲状腺機能亢進症に罹患している猫では腎血流量が増加することで慢性腎臓病が隠れてしまうことがあります。治療を開始すると腎臓への血流量が少なくなることから腎臓病が表面化します。甲状腺機能亢進症の治療を行うにあたりこのような併発疾患や副作用などに注意しながら全身状態の改善や安定を目指します。目的は症状の改善であり甲状腺の異常そのものを治療するわけではありません。基本的には生涯服用する必要があります。

療法食:療法食を用いる場合はヨードを制限した食事が選択されることがあります。

外科治療:内科治療を行っても症状の改善が見られない場合や内服薬の副作用が強く出てしまう場合などに行うことがあります。

基本的には他の疾患を併発しておらず薬で症状がコントロールできる状態であれば予後は良好です。

5.まとめ

甲状腺機能亢進症は中高齢の猫ちゃんに多い病気で、「よく食べるのに痩せていく」といった特徴的な症状が見られることがあります。
一見元気そうに見えても、心臓や腎臓など他の臓器に負担をかけてしまうこともあるため、早期発見・早期治療が大切です。

当院では血液検査や画像検査を含め、猫ちゃんの体調に合わせた丁寧な診断・治療を行っています。
最近ちょっと痩せてきたかも、水をよく飲むようになったといった小さな変化でも構いませんので、お気軽にご相談ください。

秋には血液検査キャンペーンも予定しています。定期的な健康チェックを通じて、猫ちゃんの健康を一緒に守っていきましょう。
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