ハリネズミさんに多い病気とそのサイン
1.はじめに
ハリネズミはそのユニークな見た目と愛らしい仕草で近年人気が高まっているエキゾチックアニマルの一つです。夜行性であまり鳴かず、犬や猫に比べて省スペースで買えることもあり初めてのペットとして選ばれることも増えています。
しかし、ハリネズミは犬猫のように感情や不調をわかりやすく表現する動物ではありません。飼い主さんの「些細な変化の気づき」が重要になってきます。
この記事ではハリネズミに多い病気、異常サイン、動物病院でできることなどをご紹介します。
2.ハリネズミに多い病気とその症状
皮膚トラブルはハリネズミにとても多い病気のひとつです。特に多いのがダニによる感染症です。かゆみ、フケ、針の脱落が主な症状としてみられます。ほかにも真菌(カビ)や細菌感染による皮膚炎もみられます。

症状
・体をしきりにかく
・フケが多い
・針や毛がたくさん抜ける
・頭や耳にかさぶたがある
皮膚病は人にも感染する可能性があるため早めの対処と投薬が必要です。
歯肉炎や口の中の腫瘍もハリネズミでしばしばみられます。
症状
・食べにくそうにする、よだれがでる。
・食欲不振、体重減少
・顎や顔の変形
口の中の腫瘍は外科切除が第一選択となりますが位置や大きさによって完全な切除が難しい場合が多いです。良性もしくは悪性の判断は切除後、病理検査に送ることによって初めて確定診断となります。
メスのハリネズミによくみられる病気が子宮関連のトラブルです。特に多いのが「子宮内膜炎」や「子宮腫瘍」で出血や膿の排出といった症状がみられます。初期は無症状なことも多く、出血して初めて気づくケースが多いです。
症状
・血尿
・おしりがよごれている、出血がある
・元気食欲低下、体重の減少
原因は腫瘍性疾患、非腫瘍性疾患に分けられますが根本治療には子宮卵巣の摘出手術(避妊手術)が必要です。
ハリネズミは腫瘍ができやすい動物といわれています。特に口腔内、皮膚などの腫瘍が多く、高齢の子ほど発症率が高くなります。
症状
・皮膚にしこりがある
・元気食欲低下、体重の減少
腫瘍が悪性の場合は外科手術や緩和ケアが必要となります。
WHS(ふらつき症候群)はハリネズミ特有の進行性の神経疾患です。後ろ足からふらつきが始まり最終的には全身の麻痺に進行します。残念ながら今のところ確実な治療法は確立されていません。
症状
・後ろ足がふらつく、引きずる
・体が傾く、まっすぐ立てない
緩和ケアと生活の質の維持が中心になります。
以上がハリネズミによくみられる病気です。ハリネズミは我慢強く体調が悪くてもじっとしているため変化に気づくことがとても大切です
以上のような行動がみられたらすぐに受診を検討しましょう。
3.動物病院でできること
一般的に以下のような検査、治療が行われます。
・身体検査・体重測定・口腔内チェック
・皮膚検査
・血液検査・レントゲン検査・エコー検査
・子宮卵巣摘出や腫瘍摘出などの外科手術
ハリネズミは丸まってしまう子が多いため詳しい検査のためには鎮静をかける必要があります。
4.まとめ
当院では3歳以上のハリネズミさんは1年に1回、鎮静下での詳しい健康診断をおすすめしています。ハリネズミさんの健康と幸せを守るために日々の観察と定期的な受診が大切です。
先日のハリネズミさんの健康診断の様子を載せました。
合わせてご参照ください。
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